JESREC Studyとは
JESREC Studyとは
指定難病306 好酸球性副鼻腔炎に関する研究
- 慢性副鼻腔炎は、ウイルス感染とそれに引き続く細菌感染によって生じています。
これまで本邦では、好中球浸潤を主体とする慢性副鼻腔炎が多く、このタイプの治療成績は,内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)とマクロライド少量長期投与によって飛躍的に向上しました。しかしながら1990年後半から全国で慢性副鼻腔炎の中に非常に難治性で術後の再発率が高く治療が困難な症例が散見されるようになってきました。このタイプの副鼻腔炎は病理学的には鼻粘膜に著しい好酸球浸潤増加を伴い、血中好酸球も増加するものだったために、「好酸球性副鼻腔炎」と命名されました。
- しかしこれまで「好酸球性副鼻腔炎」の疾患の診断基準、病態の理解は曖昧だったため、厚生労働省難治疾患克服事業「好酸球性副鼻腔炎の疫学,診断基準作成等に関する研究」(Japanese Epidemiological Survey of Refractory Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis Study:JESREC Study)を立ち上げて、全国大学病院など15施設および関連病院での慢性副鼻腔炎手術症例3241例のうち、術前ステロイド内服例などを除いた1716例を抽出し、臨床データを解析し、難治性好酸球性副鼻腔炎を術前に診断し、重症度を分類できる診断アルゴリズムを作成しました。この診断アルゴリズムは、病歴、診察所見、採血所見、CT所見から診断が可能で、特殊な検査を必要としないため、比較的簡便に診断が可能で、重症度に応じて治療方法を選択できるというメリットがあります。